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そこからの ものがたり…~輪廻~

【おことわり(^^ゞ】ちょいと長いです(^。^)恥ずかしながら…毎度のことですがアップさせてもらいました。気が向いたら読んでやってくださいまし「祥子シリーズ」…と、自己満足の世界ですケド(^_^;)







「ねぇ、輪廻って知ってる?」
祥子は突然そんなことを言った。

考えてみれば、あの店で呑み交わしたのが最後になった。
祥子の行きつけの店。
緒方は二回目だった。祥子が友達のつてとかで知った店には何度か行ったが、
行きつけであるこの「やよい」はなぜか、誘わなかった。
おそらく『自分の店』として置いておきたかったのかもしれない。

「なんかよくわからないけど、またこの世に戻ってくるみたいな?」
「うん、そう。信じる?それって、人間に生まれ変わるのかなぁ?
別の生き物として生まれ変わるかもねぇ?」
「なんでそんなこと言うの?」
「生まれ変わるとしたら何がいい?やっぱり人間?」
「そんなこと考えたことない」
「私は今度生まれてきたら、もし人間で女だったら…そうねぇ、美人でナイスボディで
元気で、大した苦労もしなくていい人と結婚して平凡でいいから普通に過ごしたいわね」
「いいとこどりだね。」
「でも、猫大好き人間だから猫もいいわぁ~。それもいい飼い主さんに飼われる幸せな猫!」

そんな会話を交わした。
その時も祥子の体は確実にガン細胞に蝕まれていたのだった。
乳がんからの転移で骨が侵され、子宮、肝臓、肺、と次々と侵されていった。
色々と治療を続けていてなんとか頑張ってきた。
仕事も続けていた。
緒方と会う時はあまり病気の話はしない祥子だった。
涙も見せたことが無かった。
メールではたまに愚痴っぽい事を言ってきたが緒方はどういっていいものか
ただ、たわいのない返事をしていた。



*   *   *   *   *   *   *   *



「いらっしゃいませ!」
今日も「やよい」は元気のいい声が響いていた。
「どうぞ、お好きな席へ!」
カウンターの端に座った。
「おひとりですか?」
「え・・?はい。」
緒方は寡黙だった。
カウンターの上にずらりと並んだ料理から3品ほど選んだ。
祥子が好きだった日本酒と。

「輪廻か…」

祥子はもう自分が長くはないとわかっていたのかもしれない。
もっと俺にできることがなかっただろうか・・・・・・

緒方は半年ほど前に逝ってしまった祥子にふと会える気がして
「やよい」に来たのだった。
いつもおいしそうに食べていたな。
話題が途切れず楽しい時間だった・・・
よく話を聞いてもらった。俺はちっとも聞いてやれなかった。
あまり感傷的にならない緒方であったが、となりの温もりを感じることのできない今
お酒の力もあってか、こみ上げるものが有った。


「お勘定お願いします。」
「ありがとうございます!」
支払いを済ませた緒方に
「今度はまたご一緒にいらしてください!」
俺を覚えていたのか。
「いや…もう来れないです。逝ったんですよ。」と、人差し指を上に向けながら言った。
「え?!」
「半年ほど前にね。病気で。」
それ以上口を開いたら涙を見られてしまいそうだったので「じゃ」と、背中を向けた。
店のドアを閉めると同時にこぼれおちるものが有った。
ふぅとため息ついた。
もうここへは来ないだろうか?
いや…
祥子に会いたくなったら…また…。




*   *   *   *   *   *   *   *



それから1年半が過ぎた。
厳しかった冬もそろそろ終り、3月に入りめっきり暖かい日が多くなった。
今年は桜の開花も早めになりそうだという。
やはり温暖化の影響もあるのだろうか?

緒方は4月で定年を迎える。
この10年間は仕事も思うようにならず、投げやりになっていたが、
なんとか勤め上げることができた。
それも祥子との繋がりができたことが大きく影響していた。
これから どうするかな?と、そんなことを考える日々であった。


或る日、緒方が仕事から帰ってくると、ガレージの横に子猫がたたずんでいた。
「ん?飛び出すなよ!轢いたら困る!」
車をガレージに収めると気にも留めずそそくさと玄関に向かったが、
「にゃぁ~」と鳴く。
「あっちへいって!」
緒方は犬・猫は苦手だった。
邪険に背を向け、家に入った。
しかし、翌日もなんと、同じ場所に子猫はいた。
ちょっと震えているのか?弱っているのか?
「もう!どこかへ行ってくれよ!」
そそくさと家に入る。

さすがにちょっとよわよわしい目を見ると少しばかり気になった。
あそこで死なれてもなぁ…

着替えてちょっと様子を見に出た。
じっとたたずんでいる。
動けないのか?

緒方は牛乳を取り出して子猫に差し出した。
すると、ニャンと か細く鳴いた後よろけながら立ち上がり
飲みだした。
「それ飲んだらどこかへ行ってくれよ」




*   *   *   *   *   *   *   *




今まで動物には無関心だった緒方の傍らに 白地に薄茶のブチの猫が気持ちよさそうに
眠っている。
随分と体格も大きくなっていた。

「もうすぐ三回忌だなぁ。」と、猫に話しかける。
定年退職をし、家で過ごす毎日。

あの日…
そう、子猫に牛乳をあげて家に入ろうとしてふと振り返った時
はっと緒方は息をのんだ。

子猫の背後に 
祥子のほほ笑む姿を確かに見たのだった!

え?!
目を疑った。
「祥子?!」

再び子猫に近付いていくと、祥子の姿は消えた・・・。
そしてぎこちなく子猫を抱きあげた。


あの時 言ってたな。猫でもいいって。

祥子。

本当に戻ってきたのか?!












おそまつさまでした(照れる~)あとは、タイトル通り・・・でございます。ご精読有難うございました





                       

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わさび☆

Author:わさび☆
2004年に乳がんを発症、手術・抗がん剤・放射線治療をしましたが、2009年に骨転移そして、子宮、肝臓にも転移。もう抗がん剤もあとがありません。
どこかにちっぽけな「私」という存在を残したくて……
こんな「私」も生きていたのよ…って。

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